施主支給を考え始めると、ぶつかるのが「これは自分で買っていいのか、それとも工務店にお願いすべきなのか」という線引きの問題です。
しかし、「工事は段取り八分(だんどりはちぶ)」という言葉をご存知でしょうか?事前準備で仕事の八分=80%が決まる。段取りの大切さを説いています。
この言葉を知っていたので「あえて施主支給しなかったもの」についてもお伝えします。段取りを考えるうえで、まず知っておきたいのが法律上の線引きです。
法律上の線引き:「買えるか」ではなく「取り付けを誰がやるか」
最初に誤解を解いておきたいのですが、配線工事が必要な商品だからといって、施主支給できないわけではありません。ダウンライトやスイッチのように配線工事が必要な商品でも、商品そのものを用意すること自体は施主支給できます。法律で決まっているのは、モノを買えるかどうかではなく、「取り付け(配線の接続)を誰が行うのか」という点です。
日本には電気工事士法という法律があり、コンセントやスイッチの配線をつなぐ作業は、電気工事士の資格を持つ人にしかできないと定められています。これは感電や火災を防ぐための決まりで、素人が善意でやっても違法になりますし、単純に危険です。
実はこの法律には「軽微な工事」という、資格がなくても行っていい作業の例外規定もあります。ただしこの例外は、コードの先に差込みプラグを取り付けるといった作業が中心で、コンセントやスイッチを壁の中の配線につなぐ工事は、新設・交換のどちらであってもこの例外には含まれません。「軽微な工事があるなら配線器具も自分で何とかなりそう」と思う方もいるかもしれませんが、実務上はほぼ当てはまらないので注意してください。
資格を持つ私が、あえて配線器具を施主支給しなかった理由
ここまでが法律上の話ですが、実は私は「施主支給できるもの」の中にも、あえて手を出さなかったものがあります。それがコンセントやスイッチなどの配線器具です。
支給も検討しましたが「段取り八分」が頭をよぎり、最終的に下記の理由でしませんでした。
理由1:コンセントやスイッチは、複数の製品の組み合わせで成立するから
配線器具は本体だけでなく、プレートや取付枠など、複数の部材の組み合わせで初めて完成します。メーカーやシリーズによって組み合わせのルールが細かく違うため、慣れていないと選定を間違えやすいと感じました。

基本的に4種類の製品で構成されていますが、商品は多岐にわたります。素人には難しい!(画像はイメージです)
理由2:選定にかかる労力に比べて、削減できる金額が小さいから
配線器具は照明本体に比べて単価が低く、施主支給で浮く金額はそれほど大きくありません。手間と削減額を天秤にかけたとき、割に合わないと判断しました。
理由3:電気工事店が準備した方が、間違いがないから
分電盤も含めて、電気配線は壁の中の話です。ここで私の選定や段取りが遅れると、現場に迷惑がかかります。壁の中に隠れてしまう部分だからこそ、任せられるところは任せた方がいいと考えました。
つまり施主支給の線引きは、「法律上できるかどうか」だけでなく、「職人さんに迷惑をかけないか」「自分にとってやる価値があるかどうか」も含めて考えるものだと思っています。突き詰めると、知識を仕入れることも、労力とコストを天秤にかけることも、任せる判断をすることも、全部「段取り(事前準備)にどれだけ手間をかけられるか」の話です。資格があっても、あえてやらない選択肢は十分にありです。
施主支給するなら押さえておきたい実務ポイント
シーリングファンは、下地の位置を早めに伝える
我が家はLDKのシーリングファンを施主支給しました(オーデリックのDCモータータイプ)。この場合、配線工事に加えて天井の下地(重さを支えられる場所かどうか)の確認が必須です。取り付けたい位置を早いうちに伝えて、下地を入れてもらいました。決まってから急に言うと対応が難しくなるので、早めの共有をおすすめします。
家電を買う前に、コンセントの電圧を確認する
リビングのエアコンを購入する前、私はコンセントの電圧を確認しました。エアコンは容量によって100Vと200Vのどちらに対応しているかが異なり、コンセント側の電圧と合っていないと使えません。施主支給や家電選びのタイミングで、対応するコンセントの電圧まで確認しておくと、あとから交換工事が発生する事態を避けられます。
引っ掛けシーリングは、色も選べることがある
引っ掛けシーリング(照明を取り付ける天井の差込金具)は白色が標準ですが、黒色が選べるメーカーもあります。天井や照明のデザインにこだわりたい場合は、標準仕様のまま進めず、色の希望を工務店に伝えておくといいと思います。
まとめ
施主支給の線引きで最初に誤解しやすいのが、「配線工事が必要な商品は施主支給できない」という思い込みです。実際には、商品を用意すること自体はほぼ制限がなく、線引きになるのは「取り付け(配線の接続)を誰が行うか」という点だけです。家を建てるには、さまざまな業界の職人さんが携わっています。スケジュールを調整して我が家を施工しています。製品が届かない・足りない等の段取り不足で迷惑を掛けるわけにはいきません。そのため〈あえて施主支給しない〉選択肢も残しましょう。
支給するものについては、シーリングファンの下地・家電の電圧・引っ掛けシーリングの色など、事前に確認しておきたい実務ポイントも意識してみてください。


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